2005年05月10日
第38話
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遠目に見えるひろき邸を背負いカジキは立っていた
危険区域の数歩手前。ここまで追い詰めてくるとは、さすがはクラス一の有名人であるMistyだと思った
鮮やかな赤がカジキのカタールを染め上げていた
ハイドやクローキングにMistyは完全に翻弄され、善戦しつつも倒されてしまったのだ
Misty「くっそ・・・てめ・・・え・・・ぎいあああ!!」
己の血溜まりでもがくMistyの背中に、無情にも2対の刃物が突き刺さる
カジキ鮪子「この私をてめえ呼ばわりですか。自分の立場分かってますかね?
それに私、君をいたぶるように言われてるんで。もうちょっと付き合って貰うよ」
カジキ鮪子は自らの得物と獲物を交互に見つめ、軽く微笑んで両手をMistyに振り下ろした
既に死に体のMistyにさらにダメージを与えていく
Misty(畜生・・・死ぬ・・・俺が・・・もう何も・・・)
Mistyはもう痛みも感じなくなってきたほど衰弱している───
意識が紫色の深淵へと向かいつつあるその時、何かの這いずる音が耳に届いた
倒れたまま音の方向へ首だけを傾ける・・・そこには下半身を血みどろにしつつ緩慢に向かってくるぜ~ろの姿があった
ぜ~ろも相当衰弱している。とても助けになんか入ってこられる状況ではない様子だ
しかしその時、Mistyの頭の中に雷光の速度で何かが閃いた
Misty「うう・・・ああああああああああああああ!!」
カジキ鮪子「な、何をする!?」
既に動く力もないと思っていたMistyが、飛び跳ね起きてカジキ鮪子の体を締め付ける
古くは商人が戦意を高揚するための手段であったラウドボイスは、
Mistyの全精神力を注ぎ込まれ、ほんの一時の、体力の復活と飛躍的な筋力の増強をもたらした
カジキ鮪子「そんな事で私をどうにかするつもりですか?・・・肉入りのゴミ虫め!」
カタールが何度もMistyの背中に突き刺さる
だが、Mistyはその力を緩めるどころかカジキ鮪子の腰を粉砕する勢いで力を込めてきた
Misty「ああ、どうにかするつもりだよ」
Mistyは首だけ後ろを振り返らせ、視線の先のぜ~ろに何か合図を促した
Mistyから、そのWis(合図)を受け取りぜ~ろは軽く頷いて───
カジキ鮪子「は、ああ、き、貴様一体何を・・・!」
Misty「ぜ~ろ・・・やってくれ!」
ぜ~ろの五指が魔方陣を切る。詠唱の陣が足元に出現した
ぜ~ろ「お、俺の最後の魔力だ・・・派手に吹き飛ばすぞ、ユピテルサンダー!」
ぜ~ろの放ったユピテルサンダーはMistyの背中に直撃し、危険区域の中へと吹き飛ばした
彼と、彼の抱きしめていたカジキ鮪子を──
カジキ鮪子「うわぁぁ!やめろおーー!!」
空中で花火が炸裂した
Mistyの首輪の爆発に巻き込まれ、カジキ鮪子はMistyとともに死の世界へ旅立った
ぜ~ろ「hiro、見てっか?Mistyのやろう、頑張ったぜ・・・俺も、そっち行く、わ・・・」
Mistyの矜持を見届けたぜ~ろはそのまま地面に倒れこみ息を引き取った
◇1組 番号7番 ぜ~ろ BAN。 死因:カジキ鮪子の攻撃により衰弱死
◇1組 番号27番 Misty BAN。 死因:危険区域突入の為爆死
◇KR実行委員 兵士 カジキ鮪子 BAN。 死因:Mistyの首輪の爆発に巻き込まれる
投稿者 lirim : 2005年05月10日 20:18